保証金、禁止でもなお1割実施
厚労省の技能実習生調査
朝日新聞デジタルの報道で未だに10%の送り出し機関が保証金を取っているという。
ここでいう保証金は、日本に行く技能実習生に対し、逃亡失踪の防止対策として、逃げたりした際の保証金として預かり金を取ったり、その類の契約を交わしていることに対するものである。
保証金の徴収は実習生の負担増となり、結局のところ、低賃金の実習生はより高い給料を求め逃亡失踪へと駆り立ててしまう。入管はこういった経緯により保証金関連の契約を交わしている送り出し機関に対しブラックリスト入りの措置を取り、該当機関を通じて申請にあげられた実習生の入国申請を拒否。もしくは送り出し機関の変更措置を課す。
保証金による契約は本当に逃亡失踪防止につながっていたのか
保証金をとる契約はよくないとわかっていながらも行われ続けていたのには「保証金を課すことで逃亡失踪が防げる」「もし逃亡失踪したとしても金銭的な損失を追わないようにする」などの理由からである。逃亡失踪が起こると、入国、配属までの費用を負担している受け入れ企業の損失と考えられ、その損失分を組合を通じて送り出し機関に対して請求が立つ。そんなサイクルから行われてきた保証金の負のスパイラルなのです。
実際には保証金の徴収によって、さらに逃亡失踪を助長したり、あまりプロテクトになっていないというのも現実。逃亡失踪防止対策はもっと別の方法があるのです。
受入監理組合と送り出し機関の意思統一
受入監理組合と送り出し機関の連携と意思統一が逃亡失踪の防止に効果的です。一方的なパワーバランスでこの協定が結ばれると、バランスが崩れます。往々にして起こりうることは送り出し国に対する金銭的負担による保証金や過大な教育フィーの徴収などの現象が起こります。通常、監理組合と送り出し機関の間での直接の金銭要求などが発生することは好ましくありません。送り出し国側は送り出しをするために日本側からのオーダーをもらわなければいけませんので、お客様を紹介してもらうことが喉から手が出るほど欲しいものです。それに対し過大な金銭要求があった場合応じてしまいがちです。
ブローカーを介さない健全な募集による逃亡失踪対策
通常監理組合は監理費で成り立ち、送り出し機関は学生に対する事前教育費で成り立ちます。
もちろん作業担当範囲により様々な組み方がありますが、パワーバランスが悪いと無駄な金銭負担が実習生にかかるという図式となってしまいます。監理団体と送り出し機関は「保証金を取らない」「ある一定上の教育費を取らない」「学生の募集にあたりブローカーを介さない」などの意思統一を図ることで逃亡失踪の防止につながります。直接の金銭的な問題での逃亡失踪もありますが、募集段階でブローカーを入れてしまうことで、間接的に負担がかかることもあります。これらの様々な要因をなくし、自ら募集する力を持つ送り出しである必要があります。